あなたはお金やものが“無い状態”?“有る状態”?-仏教で説かれる「有無同然」について

すべての人は幸せを求めて生きています。

不幸になりたくて生きている人は誰もいませんね。だから、このことに異論を唱える人はいないでしょう。

では、どうすれば幸せになれるのか。ほとんどの人がお金やものが無い状態から有る状態になろうと努力をしたり、苦労をしたりしています。

ところが、無い状態も有る状態もともに、不安や不満はなくならないのであり、そのことを仏教を説かれたお釈迦さまは「有無同然(うむどうぜん)」と明言されていること、そして、私たちは煩悩の塊であるから、いくら有っても満たされることがなく不満はなくならないことを前回、お話しました。

前回の記事はこちら
どうすれば不平・不満をなくし、心からの幸せになれるのか-仏教の幸福論

ちょうど、ものやお金が無い状態で苦しんでいる人というのは「鉄の鎖で縛られて苦しんでいる」状態、
ものやお金のある人は「金の鎖で縛られて苦しんでいる」状態だと言われます。

鉄か金かという材質の違いこそあれ、本質的に縛られて苦しんでいることに変わりはないのですね。

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日本人はみんな有ることで苦しんでいる?

では、あなたは無いことで苦しんでいるでしょうか?
それとも、有ることで苦しまれているでしょうか?

このような質問を講座でして、参加された皆さんに答えていただきますと、ほとんどの方が「無いことで苦しんでいる」と答えられます。

有ることで苦しんでいるという方は20人にお1人くらいの割合でしょうか。(もちろん、本当はたくさんお金や財産を持っているけれど、謙遜されて、無いことで苦しんでいると言われている人はあるかもしれません笑)

自分はお金やものが無いことで苦しんでいるといわれる方ばかりなのですが、本当に皆さんは無いことで苦しまれているのでしょうか。

今、日本にお住まいの方は世界的に見れば大変に恵まれています。

もう10年以上前に出版された本でありますが、『世界がもし100人の村だったら』(マガジンハウス、池田香代子著)という本がありました。世界を人口100人のひとつの村にたとえ、人種・経済状態・政治体制・宗教などの比率を説明されたものです。

たとえばこの中に、以下のような記述があります。

もし冷蔵庫に食料があり、
着る服があり、
頭の上には屋根があり、
寝る場所があるなら・・・・
あなたはこの世界の75パーセントの人々より裕福です

世界の実に25%の人が、雨露をしのぐところすらなく生活に困窮しているのです。この記事を読まれている方の中で屋根の無い家に住まれている方はいないでしょう。だから、世界水準でみれば恵まれている方なのですね。

また以下のようにも書かれています。

80人は標準以下の居住環境に住み
70人は文字が読めません
50人は栄養失調で苦しみ
ひとりが瀕死の状態にあり、ひとりは今、生まれようとしています
ひとり (そう、たったひとり) は大学の教育を受け
そして ひとりだけがコンピューターを所有しています

この記事を読まれている方は間違いなくパソコンかスマートフォン(もしくはタブレット)からこの記事を読まれているでしょうから、その時点ですでに世界村で最も裕福な1人になるのですね。

このように世界的視点からは私たちは圧倒的に“有る”状態です。

昔と比較しても、私たちはずっと“有る”状態

また昔と今の生活を比較すればどうでしょうか。

昔の食生活は本当に質素なものです。たとえば、江戸時代の徳川将軍は何を食べていたのでしょうか。

特に質素だったといわれるのが徳川14代将軍の家茂です。食事は梅干、煮豆、焼き味噌などの一汁二菜が基本で、夕食でも煮物や焼き魚が加わる程度だったといわれます。もちろん、素材は高級なものを使っているでしょうし、あえて健康管理のために質素にしていたのかもしれません。(しかし、家茂は21歳の若さで亡くなっています)

私たちの現代の食生活はどうでしょうか。

家に居ながらにして、そこまでの大金でなくとも通販などで日本各地、世界中の食材を取り寄せ、おいしい料理を楽しむことができます。将軍の食事をも凌駕してしまいますね。

また、伝達・通信手段においても、今はパソコンやスマートフォンで世界中の情報を瞬時に手に入れることができます。江戸時代の農民が一生かかって得た情報の総量は、私たちがたった一日で得られてしまうそうです。

食事をみても、伝達手段をとっても、昔と比較して恵まれ過ぎているほどです。科学技術の発達で昔より恵まれた生活ができていることはいいことなのですが、それだけ私たちは恵まれた生活をしているのにもかかわらず、仕事や人間関係のことへの悩みは尽きず、満たされた思いがありません。

どうして心から満たされた、ということがないのでしょうか。
どうして苦しみ・悩みがなくならないのでしょうか。

その真因と解決の方法を仏教では教えられているのです。それについて次回は書いていきたいと思います。また講座でも詳しくお話していますので、日程をご確認の上、ご参加ください。

 

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