アドラー心理学の第一人者が語る、仏教とアドラー心理学の共通点

こんにちは。「1からわかる仏教講座」スタッフのminamiです。

アドラー心理学について書かれた『嫌われる勇気』がベストセラーになり、今年1月にはドラマ化もされて、さらに話題になりましたね。

アドラー心理学を学んでいると、「仏教とも共通していますよね」と言われる方が何人もおられましたし、私自身も両方を学んで、共通していると感じました。

アドラー心理学と仏教との共通点を考察したいと思います。

アドラー心理学と東洋思想(仏教、儒教)との共通性

実はかなり以前から、アドラー心理学には東洋的な面があると感じ、比較検討された方がいました。

それは、アドラー心理学の第一人者といわれる野田俊作さんで、「アドラー心理学の東洋的展開」という論文を書かれています。

東洋思想にも仏教と儒教とがありますが、儒教は「縦の人間関係」を重んじる教えであり、アドラー心理学とはまったく相容れない、と野田さんは指摘しています。

では仏教はいうと、

(儒教にたいして)仏教は、はるかにアドラー心理学に近い根本理念にもとづいているように思える。

と語られているのです。

では仏教とアドラー心理学のそれぞれの根本理念とは、どのようなものでしょうか?

仏教とアドラー心理学の根本理念

仏教の目的を、仏教学者エドワルド・コンゼは

仏教の教理の目的は、生きとし生けるもの一切を苦から救済することにある

と言っています。

仏教を説かれたお釈迦様はこのことを『抜苦与楽(ばっくよらく)』とも言われています。

抜苦とは「苦しみを抜く」、与楽は「楽しみ(幸せ)を与える」ということ。

人びとの苦しみを抜いて救済することが仏教の目的です。

ではアドラー心理学の理念はいうと野田さんは

仏教もアドラー心理学も共に、「人間でありながらどうすれば幸福になれるか」ということを課題とする知の体系であると言えよう

と語られています。どうすれば幸福になれるかを課題とし、その課題を解決する方法が論理立てて教えられている、ということですね。

また「どうすれば幸せになれるか、苦しみを抜くことができるのか」とは無関係な、形而上学的な質問にお釈迦様は一切、答えられなかったといわれており、これは

アドラー心理学の、「何が真理であるかではなくて、何が便利であるかが問題だ」という実践的な態度と完全に共通している

と野田さんは言われています。

この根本理念以外にも、

アドラー心理学で、人間は劣等感を持つものであり、劣等コンプレックスにより人間は苦しんでいる、ということと、

人間の生は苦である、というお釈迦様の言葉が同じ意味と受け取れると書かれてあります。

もちろん相違点も指摘されているのですが、これだけ共通点があることをアドラー心理学の第一人者の方が展開されていたことは、仏教もアドラー心理学も両方好きな筆者にとっては嬉しく思いました。

次回は、論文には書かれていませんが、長年仏教を学んできた筆者が共通していると思われる仏教とアドラー心理学の具体的な内容をご紹介します。

 

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