人生の避けられない苦しみとは?実は深い仏教用語-四苦八苦②
「四苦八苦」といえば、苦労の多いときに「四苦八苦した」と使われていますが、本来の仏教の言葉であり、「四苦八苦」とは、お釈迦様が説かれた8つの苦しみのことです。
前回は「四苦八苦」のうち、最初の「生苦」「老苦」「病苦」についてお話ししました。
前回の記事はこちら
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今回は、
「愛別離苦(あいべつりく)」
「怨憎会苦(おんぞうえく)」
「求不得苦(ぐふとっく)」
「五陰盛苦(ごおんじょうく)」
について、お話ししていきます。
①愛別離苦 ~「出逢い」は「別れ」の始まり~
「愛別離苦」とは、「愛するものと必ず別離していかなければならない苦しみ」ということです。
小さなものを挙げれば、
毎朝の恋しい布団との別れ(特に冬場)、
お金との別れ(お財布をなくしてしまった)などでしょう。
これらはまだ耐えられるとしても、夫婦、親子、恋人、友人など、「愛する人」との別れは、とても辛いものですね。
デートが終わった後の恋人との別れ、卒業式での友人との別れなど、今までいろいろと経験してきたと思います。
「またいつか会える…」と思っても寂しいのに、最愛の人との「死別」ともなれば、その悲しさ、寂しさ、辛さは、言葉では表現できない苦しみでしょう。
産んで育ててくれた両親との死去、最愛の夫との死別、病気で1人息子が亡くなる…
深く愛していた人であればあるほど、その辛さは何倍にもなります。
しかし、「“出逢い”の数だけ“別れ”がある」といわれるように、遅かれ早かれ「別離」は必ずやってくるのです。
仏教で「会者定離(えしゃじょうり)」という言葉があります。
「会った者とは離れるのが定め」ということです。
どんなに「嫌だ!!」と叫んでも、この地球を飛び出しても、必ずやってくる苦しみなのです。
②怨憎会苦 ~絶句・・・「夫」の検索結果は?~
怨憎会苦とは、「怨」はうらむ、「憎」はにくむということで、「嫌いな人と会わなければならない苦しみ」のことです。
好きな人とはなかなか会えないのに、嫌な人とはいつも顔を合わせなければならない…、ということはないでしょうか。
「なんかあの人、馬が合わないんだよな~」
「何かにつけ、気に障ることを言ってきて嫌な感じ…」
「存在自体、なんかムカつく!」
と、苦手な人、相性の合わない人というのは、誰しもあるものですね。
もしそんな人が職場にいたらどうでしょうか。
しかも、自分の上司だったら…
「あの上司がいるから、もう会社行きたくない~」と泣いても、行かなかったらリストラです。
現在、新入社員の3割が3年以内に転職をしているといわれていますが、一番の原因は「上司との人間関係」だそうです。
それほど、嫌な人と毎日会わなければならない苦しみは、耐えがたいものですよね。
しかし、職場ならまだしも、そんな人が家庭にいたらどうでしょうか。
一時期、「夫」とググると、関連ワードに出てきたワードが衝撃でした。
「夫 嫌い」
「夫 死んでほしい」
「夫 死ね」
好きで一緒になった夫婦が一転、「憎い」相手同士になってしまったら大変です。
いつの時代もみな、「怨憎会苦」で苦しんでいないでしょうか。
③求不得苦 ~最低限の生活を維持するのも大変~
求不得苦とは、「求めているものが得られない苦しみ」です。
私達は日々、色々なものを求めています。
- 名の知れた大学に入りたい
- 給料が良くて、休みがしっかり取れる会社に入りたい
- 相性ピッタリの彼女をつくって癒されたい
- マイホームを建てて、子供は2人ほしい
しかし、現実はそううまくいかないことが多いと思います。
- 一浪したのに第一志望に落ち、やむなく別の大学へ
- 今の会社は休みはそこそことれるけど、給料がめっちゃ安い
- 年齢=彼女いない歴です
- マイホームどころか、アパートの家賃もままならない
ある20代の社会人は、
「大人になったら、最低限の生活でつつましく生きれれば良いと思ってた。でも、最低限の生活を維持することすら大変という現実…汗」
とSNSに投稿し、それが反響を得ていました。
涙ぐましい努力をしても、なかなか求めているものは得られない。
それが私達の実態ではないでしょうか。
④五陰盛苦 ~全ての苦しみは肉体あるゆえ~
五陰盛苦とは、「肉体が盛んなるゆえの苦しみ」です。
仏教では、人間は5つのもの(五蘊〔ごうん〕や五陰といわれる)で成り立っていると教えられます。
その肉体があるゆえにさまざまな苦しみがやってきます。
五陰盛苦は、四苦八苦をまとめたものといわれます。
今回は4つの苦しみを紹介しましたが、どれもあてはまるのではないでしょうか?
仏教は2600年も前に説かれた教えですが、その当時のインド人も、現代の日本人も、いつでもどこでも共通することが教えられているとわかりますね。
次回は、最後に残った「死苦」をお話ししたいと思います。