「四苦八苦」の本当の意味って?実は深い仏教用語-四苦八苦①
1からわかる仏教講座スタッフの kakoです。
突然ですが、みなさんは「四苦八苦」という言葉を知っていますか?
一般的には、さまざまなことで困ったり、多くの苦労したりしたときに、「いや~、去年は足を骨折して四苦八苦したよ」「言い訳するのに四苦八苦した」などと使われていますね。
しかし実は「四苦八苦」の語源は仏教であり、今使わている意味と本来の意味はちがっているのです。
「四苦八苦」の本当の意味とは?
では「四苦八苦」の本当の意味とは何でしょうか?
いつ、どこに住まいしようとも、人間である限り避けられ8つの苦しみをお釈迦様が教えられたのが「四苦八苦」です。こちらの8つを言われます。
- 生苦(しょうく)-生きる苦しみ
- 老苦(ろうく)-老いる苦しみ
- 病苦(びょうく)-病の苦しみ
- 死苦(しく)-死ぬ苦しみ
- 愛別離苦(あいべつりく)-好きな人や物と離れ離れになる苦しみ
- 怨憎会苦(おんぞうえく)-嫌いな人と会わなければならない苦しみ
- 求不得苦(ぐふとっく)-求めるものが得られない苦しみ
- 五陰盛苦(ごおんじょうく)-肉体あるゆえの苦しみ
生苦から死苦までの4つの苦しみを「四苦」、それにあとの4つの苦しみを加えて「八苦」と教えられています。
今回は、最初の「生苦」「老苦」「病苦」についてお話しします。
①生苦 ~この世が「堪忍土」といわれる理由~
「苦は色変わり」といわれるように、1つ苦しみを乗り越えても、すぐ次の苦難に襲われます。
受験、就活、出世、結婚、経済的な問題などなど、悩みは尽きません。特に、学校でも、職場でも、家庭でも、人間関係の苦しみはつきものですよね。
思い通りにならず、怒りの心がこみ上げても、感情をあらわにすると人間関係に亀裂が入る。心は「コノヤロー!!」と思っても、ぐっと怒りを抑えて、顔は笑っていなければなりません。
私たちが生きているこの世界を、仏教では「娑婆(しゃば)世界」といわれます。「娑婆」は、中国語では「堪忍土(かんにんど)」と訳されます。「堪忍土」とは、常に耐え忍んで生きていかなければならない世界、という意味です。
生きるためには、毎日辛くても仕事をしなくてはなりませんし、苦手な人とも付き合っていかなければなりません。やりたくないことをしなければならないことも多いでしょう。先の人間関係を保つために、怒りたくても怒れないし、笑いたくなくても笑わないといけない…。
そのように、生きるためにはいろいろな苦しみも乗り越えなければならない。「生きる」とは、苦しみの連続ではないでしょうか。
②老苦 ~老いは重力に逆らえない~
悲しいけれども、人間は1日1日、老いていかねばなりません。
20代のころは何ともなかった徹夜が、今は身体に大打撃。次の日は戦闘不能になる。さっそうと登れていた階段も、今は息切れしながら登っている。だんだんとお腹まわりの脂肪は増え、髪の毛は減っていく。
最近、化粧のノリがホントよくない。「30歳を超えると妙に老いを感じるようになった」という声さえもよく聞きます。綺麗な女性ほど、老いるのが怖いともよくいわれますね。
しかし、老いを止めることは、重力に抵抗するより不可能なことです。いずれは腰が曲がり、歯は抜け、歩けなくなり、身の回りのことも手伝ってもらわなければ生きられなくなるときが、必ず来ます。
この「老苦」もまた、万人共通なのです。
③病苦 ~人間は病の器~
WHOが発表している病気の種類は、実に2万種類にのぼります。中には原因不明のものも多く、突然に発症し、毎日を泣いて過ごしている方もあります。
最近は20代、30代の脳梗塞や心筋梗塞も増えているといわれていますね。「病気は年とってからなるもの」とは言えなくなってきました。
「病」は、「やまいだれ」に「丙」と書きます。「病」にかかった人は、それが頭痛であろうと腹痛であろうと、「自分の病が一番苦しい」と思いますね。「大したことないじゃん!」という病でも、当の本人からしたら辛くて仕方ない。どの病が苦しいのか、「甲乙つけがたい」ので、「丙」という字が使われたそうです。
「病苦」も、遅かれ早かれどんな人にもやってくる苦しみの1つです。
4番目の「死苦」以降については、次回以降でお話ししていきます。
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