仏教に学ぶマインドセット-人間関係で苦しむ心と、良い人間関係を築いて幸せになれる心
1からわかる仏教講座、スタッフのminamiです。
このブログでは講座の内容の一部をご紹介しています。
今回は「仏教に学ぶマインドセット」です。
マインドセットとは、考え方の基本的な枠組みのことです。
異性との関係、上司、同僚、部下との関係、家族関係など、私たちは人間関係の中で生きています。
では、日々どんな心で人と接しているでしょうか?
その心によって人間関係で苦しむことになりますし、心がけ次第で良い人間関係を築いて幸せにもなれます。
人間関係で苦しむ心と、反対に幸せになれる心(マインドセット)とはどのようなものか、ブッダの説いた仏教を通して学びましょう。
記事の内容が動画でも紹介されています
「してあげた事と、してもらった事」のマインドセット
私たちは人に何か親切をしたことと、人に親切にしてもらったこと、どちらを多く覚えているでしょうか?
アメリカの心理学者 トラフィモウ・アーメンダリッツが400人の大学生を対象に、「人にしてあげた親切な行動」と「人にしてもらった親切な行動」とを書き出させ、その割合を調べたそうです。
経験からいって、人にしてあげた親切の方が多く覚えていそうですね。
仮に「人にしてもらった親切な行動」を1つ覚えているとすれば、「人にしてあげた親切な行動」は平均して何倍くらい覚えていたのでしょうか。
実験結果は、
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35。
つまり、人は「人にしてもらった事」の35倍、「人にしてあげた事」を覚えているということです。
日本人の大学生を対象にすればもう少し差は埋まったかもしれませんが、それでも「人にしてあげた事」を圧倒的に覚えているのが人間なのですね。
そして、この「人にしてあげた事」ばかり覚えていて、「人にしてもらった事」を忘れているというのは、人間関係で苦しむ、不幸になるマインドセットです。
反対に、「人にしてあげた事」を忘れ、「人にしてもらった事」を覚えているのは幸せになれるマイントセットなのです。
なぜ「人にしてあげたこと事」ばかり覚えているのが不幸になるマインドセットかというと、それは親切したことを覚えていると見返りを期待してしまうからです。
「私はあなたのためにこんなに尽くしていますよ。お返しはないんですか?」という心で相手と接していると、相手はお礼を言うどころか、恩着せがましいと思ってますますお返しをしなくなってしまうでしょう。
するとあなたはますます腹を立てて、恩着せがましく接してしまい、さらに相手から嫌われてしまう…、という悪循環に陥ってしまいます。
幸せになれるマインドセット-「してあげた親切」を忘れるようにしよう
「してあげた事」を覚えていればいるほど相手に見返りを求めて関係が悪くなってしまう。
だから仏教では、「してあげた親切を忘れなさい」と教えられています。
詳しくは「三輪空(さんりんくう)」といい、「親切をしたときに3つのことを忘れなさい」といわれるのです。
3つのこととは、
- 施者(せしゃ)
- 受者(じゅしゃ)
- 施物(せもつ)
のことです。
施者は「私が」、
受者は「誰々に」、
施物は「何々を」。
「私が、誰々に、何々を。この3つを忘れなさい」ということですね。
「私がやってあげたのよ」の「私が」を忘れる。
「あなたのためにしてあげたんだよ」の「あなたのために」を忘れる。
「こんなに時間も体力も使って◯◯をしたのよ」の「こんなに時間も体力も使って◯◯を」を忘れる、ということです。
「いや、してあげた事を忘れてしまったら、なんかもったいないじゃないですか」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
親切をしたことによる果報は必ず返ってきます。むしろ覚えていないほうがより良い結果となって返ってくるのです。
さらに忘れている方が、相手に見返りを求めることなく、心豊かに暮らすことができます。
人に尽くすことに喜びを感じているあなたを、周りの人も快く思い、良い人間関係が築かれていくでしょう。
ただ、いきなり「してあげた事」を忘れましょう、とは言われても、難しいと思います。忘れようとすればするほど、思い出してしまうかもしれません。
しかしまず「してあげた事を覚えているのは不幸なマインドセットだ」という意識があるだけで、人に恩着せがましく接してしまうことへのブレーキになります。
「してもらった事」は忘れないようにする
「してあげた事」は忘れるのは大事ですが、反対に「してもらった事」は忘れてはいけません。
人間(というより私自身なのですが)というのは本当に情けなく、「してあげた事」はどこまでも覚えているくせに、「してもらった事」は簡単に忘れてしまいます。
気をつけていないと、昨日やってもらったことすら忘れてしまい、お礼の言葉が出てきません。
感謝を忘れては、やはり相手と良い関係を築くのは難しいので、忘れないように工夫をしたいですね。
すぐにお礼を言う、
してもらったことを記憶に頼らずに、書き留める
人に出会うときには、事前にお礼のネタがなかったか振り返る、など。
これも実行するのは簡単ではありませんが、少しずつでもやっていきたいですね。