マネジメントの最大のポイントとは?「人の強みに注目する」ことの重要性-人生を劇的に変える“ドラッカーと仏教”①
「1からわかる仏教講座」スタッフの minami です。
このブログでは、仏教講座で話されている内容の一部をご紹介しています。
今回は、「人生を劇的に変える“ドラッカーと仏教”」についてです。
「マネジメントの父」ドラッカーとは?
ピーター・ドラッカーはウィーン生まれ、ユダヤ系オーストリア人です。
「マネジメントの父」とも呼ばれ、組織のマネジメントについて初めて体系的に教えたとされる人物ですね。
経営者層によく知られた人でしたが、「もしドラ」こと「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の大ヒットによって一般の人にも多く知られるようになりました(発行部数は270万部を超えているそうです)。
経営学者として名高いドラッカーですが、ドラッカー自身は自らを「社会生態学者*」と名乗っていたといわれます。
*人間によってつくられた人間の環境に関心を持ち、それを研究する人、という意味
なぜマネジメントは生まれた?ドラッカーの思想の背景
先述のようにドラッカーはユダヤ系のオーストリア人であったため、ファシズムを掲げるナチスからの迫害を危惧し、アメリカへと渡りました。
アメリカではGMことジェネラルモーターズから声がかかり、その組織の研究を依頼されます。
そこで目にしたのが画期的な経営指針・経営組織でした。
当時は第二次世界大戦の真っ只中であり、深刻な人手不足でした。
そこでGMでは、黒人や奴隷、娼婦など、当時は特に侮蔑の目で見られていた人を積極的に雇用し、労働者不足を解消していたのです。
さらにそれだけでなく、その労働者の生産性を高められるように学習環境を整えていたのです。
そこで働く人々は非常に生き生きとしていた、ともいわれています。
後にドラッカーも学習機会の重要性を述べていて、
「優れた企業は従業員に学習をさせている」
「学習させる環境があるかないかで、組織の繁栄が決まる」
とも語っているそうです。
GMの経営組織から大きな刺激を受けたドラッカーは、企業がいかに人を幸せにするかを研究するようになったのです。
ドラッカーのマネジメントのポイントとは?
では研究により教えられたドラッカーのマネジメントとは、どのようなものなのでしょうか?
マネジメントとは「人にかかわることだ」といわれています。
そして
その機能は人が共同して成果をあげることを可能とし、強みを発揮させ、弱みを無意味にすることである
と語られています。
成果を挙げるのは強みによってできるのであり、弱みをいくら改善しても平凡になることさえ疑わしい、とさえいわれているのです。
私たちはついつい、相手に対しても自分に対しても弱みに注目をしてしまいがちです。
悪いところ、短所を重大な欠陥だと思いこんでしまうからですね。
そもそも子供のころから欠点を指摘され、それをなおすように言われてきた方が多いと思います。
仮に学生のころに英語で90点、数学で10点を取ったとします。
すると教師も親も、英語の高得点にはそれほど触れず、数学の点数が低いことを指摘し、短所を補うよういわれることが多かったでしょう。
もちろん苦手な科目を克服し、克己心を養うことも大切です。
しかし苦手の改善にエネルギーを使い過ぎるあまり、長所をつぶしてしまってはもったいないですね。
なにより気持ちがネガティブになって、学習意欲そのものが低下してしまいかねません。
これは会社組織でも同じで、上司から欠点ばかりを指摘されては、部下の仕事へのモチベーションはどんどん下がって、生産性や創造性も落ちてしまうでしょう。
「人を活かすために、強みに注目する」
これがマネジメントの最大のポイントなのですね。
組織のメンバーそれぞれが強みを発揮すれば、必然的に弱みは補完され、組織全体として大きな成果を挙げることができるのですね。
お釈迦様のお弟子たちも強みを発揮していた
仏教を説かれたお釈迦様のもとには何千人という、非常に多くの弟子がいました。
その中でも特に主要な10人の弟子たちは「十大弟子」といわれました。
十大弟子はあらゆる面において並ではなかったと思いますが、それぞれに特に優れたところがあり、「〇〇第一」と呼ばれています。
例:智慧第一、説法第一など
それぞれのお弟子が強みを最大限発揮し、布教に力を尽くしていたことがうかがい知れます。
十大弟子のように、と言ってはあまりにハードルが高いですが、自分の所属組織の中で「〇〇なら、Aさんが一番」といわれるように、強みを活かしていきたいですね。
では、メンバーそれぞれが強みを活かすためにはどうすればいいのでしょうか?
次回はそれについて、詳しくお話しします。