良い縁に恵まれるには?仏教で説かれる「縁を選ぶときの基準」

「1からわかる仏教講座」スタッフの minami です。

仏教で「縁」とはどのようなものと教えられるのかについて、前回はご紹介しました。

前回の記事はこちら

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仏教では「因縁生(「因」と「縁」とが結びついて、すべてのものは生じている)」と説かれ、縁は結果を生じさせるのを助けるものと教えられています。

どのような縁と結びつくかで、私たちに身に起こる結果も大きく変わります。

今回は、縁を選ぶことの大切さ、また縁を選ぶときの基準を仏教の観点からお話しします。

記事の内容が動画でも紹介されています

「孟母三遷」の故事からわかる、“縁”の重要性

縁がいかに良い結果をもたらすかを教えた故事成語が、「孟母三遷(もうぼさんせん)」です。

孟母とは、孟子のお母さんのことです。

孟子といえば中国の儒学者であり、儒教の祖・孔子の後継者の中でも最も偉大といわれている人物です。国政を良い方に向かわせるために「性善説」を唱えたことでも有名ですね。

孟子がこのように歴史に名を残すほどの立派な人物になれたのは、もちろん本人の才能と努力にもよりますが、それに加えてお母さんの環境選びもあったからこそ、といわれています。

孟子が子供の頃、親子ははじめは墓場のそばに住んでいました。すると孟子は葬式のまねばかりをするようになり、これでは良くないと、市場の近くに転居しました。

そうすると今度は孟子は商売のまねをするようになったため、これでもいけないと、次は学校のそばに引っ越しました。

すると孟子は礼儀作法をまねるようになり、孟子のお母さんは、この場所こそが子供の教育には最適な場所だと思って定住した、というエピソードから生まれたのが「孟母三遷」です。

これは子供の教育には環境が大切であると教えた言葉ですが、子供の教育に限らず、仕事でも勉学でも人付き合いでも、良い結果を得るには縁が大事であるといえるでしょう。

縁を選ぶときの基準とは?「損得」や「都合」ではなく…

「孟母三遷」のエピソードから、優れた成果を得るには縁を選ぶこと、環境を整えることが大切だとわかりましたが、では縁はどのような基準で選べばよいのでしょうか?

私たちは「損得」や「自分の都合」で環境を選んでしまいがちです。

「この人といると楽ができる、あれこれ言われない」

「この人と組めば儲かりそうだ」

「ここにいれば自分の思い通りにできる」

と、自分の都合、欲を優先して環境を選んでしまうことがあるのではないでしょうか。

しかし仏教を説かれたお釈迦様は、損得や都合ではなく、「善悪」で縁を選びなさい、と教えられています。

「楽はできない、いろいろと指摘も受ける。しかしこの人といると人間的に成長できる。なりたい自分へと近づける」となれる縁を選ぶべきだ、ということですね。

心理学でも、「目標は風邪のように伝染する」といわれます。
高い志を持った人と一緒に過ごす、そのような人たちの集まりに身を置くことで良い影響を受けて、大きく自己成長し、目標の達成に向けて努力できるのです。

それとは反対に、楽ができるからといって怠惰な生活へと変わってしまうような縁を持つべきではない、といわれています。

都合を優先しまいがちな自分だからこそ、善悪を基準にして、慎重に縁を選んでいきたいですね。