12/19(土)「稲盛和夫氏の『生き方』と利他の精神」講座
今回の講座では「稲盛和夫氏の『生き方』と利他の精神」についてお話ししました。
稲盛和夫さんといえば、京セラとKDDIの会長です。異なる分野でそれぞれの企業を世界的企業へと導きました。
さらに、2010年に会社更生法が適用され、どん底状態であったJALを再建し、わずか2年で営業利益を2000億円に乗せ、見事にV字回復を果たしたことでも話題になりました。
どうしてこれほどの偉業を成し遂げることができたのでしょうか?
その稲盛さんの経営方針、人生哲学が記されているのが著書「生き方」です。
「生き方」は今から10年以上前、2004年に出版された本です。
そんな前に出版された本にもかかわらず、今も書店で平積みされているほど売れ続け、2015年に100万部を突破。今では累計発行部数が120万部を超えた、不朽のミリオンセラーです。
先日、二子玉川にある蔦屋家電に行ったところ、書籍コーナーの一番目立つところに、今年や昨年に出版されたベストセラーのビジネス書と一緒に平積みされていて驚きした。
10年以上経過しても色あせることのない人生哲学が書かれているのだと、改めて思いました。
稲盛和夫さんの人生哲学とは? 仏教思想に影響
稲盛さんといえば、経営者でありながら出家をされたことでも有名です。
1997年9月、京都の円福寺に出家し、「大和」という僧名をもらいました。そして実際に「托鉢(乞食)」という修行をされたそうです。
経営者に復帰されてからも、暇さえあれば仏教書を読まれているそうです。(暇な時間がそもそもないかもしれませんが)
そのため「生き方」を読んでも、たくさんの仏教用語や、仏教に関する説話が引用されています。
このことからも稲盛さんの人生哲学に仏教思想が大きな影響を与えていることがわかります。仏教思想抜きに、稲盛さんの人生哲学をお話しすることはできないのです。
数ある仏教用語の中でも、「生き方」で最も多く出てくる言葉が「利他(りた)」「利他の心」「利他の精神」です。利他は、稲盛さんの人生哲学の土台であり、中心にあります。利他とは、どういう意味でしょうか。
稲盛哲学の土台 利他の精神とは?
利他の利とは、利益のことです。利益はもともと仏教の言葉で利益(りやく)と読みます。利益とは幸せのことです。
だから利他とは、他人を幸せにする、喜ばせるということですね。他人の利益を優先する心が利他の心なのですね。
利他は別の仏教用語で「布施」ともいわれます。
布施と聞くと、あまりいいイメージを持たれない方も多いかもしれません。(僧侶に渡すお金、お橋の読み賃のように思われています)
しかし布施とは今日の言葉でいうと「親切」のことです。相手が喜ばれることをするのが布施であり、決してお金のことだけではないのですね。
親切は「親を切る」と書きます。「親を着るなんて、なんて物騒な!」と思われますよね?それは人に親切をするのは、「親を切る」ことほど苦しい、辛いことだからなのです。
利他の精神は「他人を利益を優先する心」とお話ししました。利他の精神がなければ親切はできません。この利他の精神がこんこんと自分の心に湧いてくれば、親切するのはそれほど難しいことではありません。
ところが私達人間の心は「自分の利益を優先したい心」いっぱいなのであり、できれば親切をしたくないのが本音だと、仏教で説かれてあります。
だから親切は難しいのです。難しいからこそ親切をすれば素晴らしい結果となって返ってくる、とも説かれます。
人間の本性と、利他の精神。合わせて知ることで人生の本質が分かります。この続きは次回の記事でお話ししたいと思います。
仏教講座に参加された方の感想をご紹介します
布施のつらさがわかった だからこそ心掛けていきたい
「利他」という考え方が一番大事なことだと知ることができて、よかったです。
布施がつらい、と思う気持ちもよく分かりました。
布施を心掛けたいと思います。
(30代・男性)
私心なき決意に感銘
稲盛和夫さんが国民のためにDDI設立を決意する前に、半年をかけて私心なきを確かめていたことに感銘を受けました。
親切というつらさ、難しさを感じました。
(20代・女性)
頭で理解できても実践は難しい 少しずつできることから
布施をすれば素晴らしい結果が返ってくることを頭で理解することはできても、実践することは難しいと感じます。
少しずつできることから継続していくことが大切だと思いました。
(40代・男性)