【人身受け難し①】

人身受け難しとIBMとカスパロフ

1997年、ディープ・ブルーというコンピューターが

当時、チェスの世界王者として

不動の地位にあったカスパロフを倒しました。

 

ディープブルーは、

データベースに登録された

過去数百年分の対局から同じ局面を探しだし、

過去の名人たちが勝利したやり方を模倣し、

1秒間に2億手の先読みを行う、

IBMが巨額の投資をかけたスーパーコンピューターです。

 

考える力において他の動物の追随を許さず、

万物の霊長たる人間ですが、

人工知能が人間の知能に勝った、と

当時センセーショナルな話題となりました。

 

あれから15年。

 

将棋はチェスより複雑で、

囲碁はさらに複雑だといわれますが、

それでも2012年現在、コンピューターに

はたして棋士の頭脳は勝てるでしょうか。

 

もし人間が考える点において、

ほかの動物より尊重されるべき、

価値あるものととらえるならば

やがてコンピューターは

人間の上に君臨する存在となってしまうのでしょうか。

 

卑弥呼の時代、

亀の甲羅の割れ方や、シカの骨の亀裂から

神のご宣託として政治を運営していたことがありましたが、

現代人はコンピューターのご宣託により、

政治を運営し、経済の流れを読みます。

 

その傾向を危惧するテーマの小説や映画はあります。

 

しかしどれだけコンピューターが

人間の頭脳の及ばぬ力量を発揮したとしても

機械にはない、人間ならでは、の思索があります。

 

「いったい私は死んだらどうなるのだろうか?」

という問い。

 

コンピューターはないでしょうが、

人間には厳としてこの問いがあります。

 

コンピューターは

「苦しい人生、何のために生きるか?」

の問いもないでしょう。

 

しかし人間は考えずにおれません。

 

この問いに明答を示した仏説を

「聞きたい」という聞法心も人間ならではです。

 

『人身受け難し、今已に受く

仏法聞き難し、今已に聞く』

 

釈尊の金言がひしひしと迫ってくるではありませんか。

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