【ハイデッガーと、親鸞】
ファンタジー小説「ソフィーの世界」を
知っていますでしょうか。
世界各国で翻訳され、
全世界で約2300万部以上を売り上げ、ベストセラーになり、
作者の故郷・ノルウェーでは、映画化もされました。
「ソフィーの哲学」は、
ノルウェーの哲学教師であるヨースタイン・ゴルデルが、
少年少女にも哲学に興味・関心を持ってもらいたい、 と書いた本なので、
内容は哲学の手ほどき、入門書のようなものです。
ゴルデルが来日した際に、
NHKの企画で、広末涼子さんと対談しました。
その際、
「これは西洋の哲学のことしか書かれていません。
日本に若い人たちには東洋の哲学、仏教を学んでほしいと思います。」
と話していたのが印象に深く残ってます。
今日仏教は、多くの西欧の知識人たちから、注目を浴びています。
ところが彼ら知識人が触れられる仏教の本は英訳された微量の本で、
日本語や漢文が読めなければ、
読めない仏教書がほとんどです。
そのため西欧の思想家たちは、
日本の思想家たちに羨望の目を向けているのです。
日本人がこの特権をもっと使って世界に還元すればいいのに、
と、ゴルデルのような視野の広い人がそう思うのは、もっともなことだと思います。
ウィトゲンシュタインと並び、
20世紀最大の哲学者と称されるドイツの哲学者・ハイデッガー。
そのハイデッガーが『老後の日記』の中で
「今日、英訳を通じて、始めて、東洋の聖者親鸞を知った。
若し、10年前に、こんな素晴しい聖者が東洋にあったことを知ったなら、
私はギリシヤ語や、ラテン語の勉強もしなかった。
日本語を学び、親鸞聖人の教えを聞いて世界中に弘めることを、
生き甲斐にしたであろう。 だが、おそかった」
と書いているのです。
更にハイデッガーは
「ドイツには、日本の哲学者や思想家が30名近くも留学していたが、
誰一人、日本にこんな偉大な人がおられたことを聞かせてくれなかった。
日本の人達は何をしているのだろう。」
とも記しています。
私はこの彼の言葉を思い返すとき、
日本人として生まれ、日本語がわかることを喜ばずにおれません。